ぼく、まっさん

オッス!まっさんだぞ!

烏よ、お前はすでに死んでいる。いやまあ死ななくて良いから一発ビンタさせてくれ

 

時刻は22時。最近は自炊をすることが多く、ゴミ袋がすぐ埋まる。4日で満杯になるゴミ袋を、明日ゴミ捨て場に持っていく為に玄関前に放り投げる。

 

うちのゴミ捨て場は、プラスチックも生ゴミも全部まとめて良い(後で業者が仕分けしてくれる)ので、本当に楽だ。ゴミも分けてくれて、1k7畳。これで2万5000円なのだから、相変わらず良い物件を探した。

 

最近は夜型の生活なので、朝の6時まで作業してから就寝。翌朝(昼の4時)目覚めて、ゴミ袋を出しに行こうとドアを開けた時、とてつもない異臭と、目を疑う光景が目に飛び込んだ。

 

飛び散らかったゴミ。ゴミ。ゴミ。カビの生えたみかんの皮、賞味期限の切れたじゃがいも、黒く変色したキャベツの芯が、これでもかと目の前に散らばっている。

 

何故だ。ゴミ袋の口は閉じたはず。

 

そう思い、散らかったゴミからゴミ袋を探す。ドアのすぐ正面に存在したそれは、何度もつつかれた後、大きな穴が開けられていた。

 

 

烏(カラス)だ。

 

 

カラスは夜明け頃に、生ゴミを漁る習性がある。夜明け頃の歓楽街にいけば、カラスに突かれたゴミ袋と、散乱した生ゴミ達を見ることができるだろう。多くの店がカラス対策として、緑のネットを貼っている。

 

だが、僕はネットもかけず放置した。その結果がこれだ。ゴミ袋を玄関前に放り投げ、すぐ部屋に戻った己の愚かさを後悔する。

 

烏よ、お前はすでに死んでいる。いやまあ死ななくて良いから一発ビンタさせてくれ。

 

カラスへの憎悪を抱えたまま、全てのゴミを拾い集める。寝起きには中々辛い現実だが、少し大きめのゴミ袋に、30分かけて全てのゴミを集め終えた。

 

よし、これで良いだろう。

 

そう思い、またゴミ袋を玄関前に置く。もう同じミスは繰り返さない。晩飯を買いに出る時に捨てに行こう。

 

夕方6時。晩飯を買いに出る為に扉を開ける。すると、目の前をとてつもない速さで飛び去る影があった。

 

 

そして目の前にはまた散乱したゴミ。ゴミ。ゴミ。ついさっき拾い集めたばかりの、暗黒物質ダークマター)が図々しく鎮座している。

 

おかしい。何故だ?カラスの活動時間にはまだ早いはず。そう思いながら逃げ去る影を確認する。

 

 

ネコだ。

 

 

やってらんねーぜ。もう。