美人が好きだ
美人が現れた。
応募した求人が、派遣会社の求人だった。
派遣会社の求人は、派遣会社のサポートスタッフが一人付いて、新たな職場を探しに面接に行くと言うものだ。
僕の担当が、美人だった
京都出身で背丈は150程度。おしゃべりが好きで、派遣会社から歩いて面接会場に行く間ずっと喋っていた。時折八重歯が見えるのが、また可愛い。
面接会場に到着。僕と彼女と、男性2名で面接がスタート。
まだ一年目の彼女は、面接の間必死でメモを取っている。
面接が終わった。
「手応えよかったですよ!松原さん!」
笑顔で話しかけてくる。初めて営業で案件が取れた新人社員みたいだ。けなげな姿が可愛い。
面接が終わって、帰り際にいろんな話をした。
今は広島のどこに住んでいるの?
社会人って疲れる?
上司との会議、めんどくさい?
彼女は素で答えてくれた。初めて会った時は社会人の斎藤さんだったけど、面接後「あの取引先の遠藤さん、苦手なんですよねー。」と言う彼女は、ただの斎藤さんだった。
ただの派遣会社の社員と、ただのバイトを探すフリーター。
「僕、組織で働いたことないから不安です」
「松原さんなら、大丈夫ですよ!」
満面の笑みでそう言われた。
僕があそこで勤めれば、彼女の手柄になる。果たしてあの笑顔は、どれだけ仕事で、どれだけ素だったのか。でもそんな疑いも、可愛いからいいや。
やっぱり美人が好きだ。美人が笑えば、幸せを感じる。