僕はキャバクラに入れない 後編
夜の街すすきの。気温はマイナス5度の中、無料案内所に入れない僕は、寒空の中さまよっていた。
一人ウロウロしているうちに、気さくそうな青年が話しかけてきた。桃白白を探していると伝えると、
「あそこの信号曲がって、すぐの案内所が良いですよ!」
と教えてくれた。案内を信じ、店の人間以外は信用しないと心に決める。店の前で声をかけられても、これは罠だと思い店の中へ直行する。
おかしな人間だ。一人で無料案内所に来て、話を聞かずにいきなり店の中へ突っ込むのだ。何て怪しい。
実際店の前にいた人は、店の中で待ってるより路上で声かけするために待機していた人だった。おろおろしながら、話も聞かず店の中へ直行した僕は、明らかに余裕がない童貞の行動だった。
やっちまった。でも、夜の町は怖いのだ。仕方ない。
で、案内所のお兄さんに話を聞くと
「タオパイパイね~。お勧めはしませんよ。結構太った子が多くて、中には80kg位の人もいる。当たり外れがある上に、指名できないですからね~」
と言われた。
80kg.....だと........?????
最近太ったな~と思う俺ですら70kgなのに、それを10kgも上回ってきた。尋常じゃない。
そんな子と、お金を払ってイチャイチャする???
怖かった。そもそも好きな子としかイチャイチャしたことがない僕が、どこぞの誰とも分からない人とイチャイチャする。。。???その上、80kg。。。。。イチャイチャ。。。。。?????
悩んだ。たっぷり悩んだ。案内所の人に苦笑されるくらい悩んだ。結果。。。
行かなかった。
行ってたら使ってた筈の5000円のうち、1000円だけ使って、回転寿司で美味しいサーモン食べて帰った。
サーモンが美味しかったので、とても幸せだった。
ああ、夜遊び向いてねえなぁ、俺。そう思ったすすきのの、夜だった。