君は、僕が好きなのかもしれない
サークルの飲みの帰り道。たかし、だいき、ゆうた、僕、みゆ、あや。いつもの六人で、照明も落ちた暗い商店街を歩いてた。
「まっちゃんはまじでモテないなあ!この童貞!」
「うるせーバーカ!そのうちモテんだよ!」
少し寂れた商店街に、僕達の笑い声が響く。たかしがいじり、僕が突っ込む。お決まりのお笑いのパターンだ。
君はいつも、大口を空けてはしたなく笑った。
おしとやかにいなくちゃ。
カッコつけて、男らしく。
そんな下らない見栄も張らず、昔からの幼なじみの様に何でもない時間を過ごす。そんな6人だった。
まあ、そんなまっちゃんのこと、好きな人もいるよね
伏し目気味に、誰にも聞こえない位小さな声で、君は呟いた。
誰に届ける訳でもなく呟いた君の声は、さっさと次の話題に移った四人には届かなかった。隣で歩いてた、僕だけに聞こえた。
急に頭が真っ白になる。さっきまでのほろ酔い気分は消え失せ、心臓の音が大きくなる。
どくん。どくん。どくん。
そこからは、何を話したか覚えてない。ゲラゲラ笑ってたのかもしれないし、何も話さなかったのかも。そんなこと覚えてない位、僕はあわてた。
だって、僕がここ二年、二人で遊びたいと思い続けたのは、君だから。
商店街の出口に差し掛かり、今日は解散。一人だけ帰り道が違う僕は皆に手を振り、少しずつ暗くなる夜道を一人歩く。
いま、皆は何を話してるかな
初めてそんなことを考えながら帰路についた。モヤモヤするような、ウキウキするような。8割の戸惑いと2割の期待を抱えた僕は、2週間後、皆で行く夏祭りが、急に楽しみになってきた。